ラオカイからバクハまではバスで3時間。距離はないのだが、とにかく荷物の積み込みに時間がかかりすぎる。バスがいちばんいい輸送手段であるかぎり、この状態は続くだろう。かつての中国がまさにそうだったが、今ではバスに荷物を積もうとする人はほとんどなく、荷物による発車遅れやノロノロ運転のイライラからは解放された。ただし、満員になるまで出ようとしないので、別の意味でのイライラは残ったままだ。
バクハで下りたのは私とチェコのカップルと、途中から乗り込んだモンの人たちだけだった。このまま乗り続けたらどこまで行けるのだろう・・・、運転手に聞いてみたが、終点には泊まる場所がないとのこと。バクハで泊まることにする。サオマイ・ホテル、10ドル。ヨーロッパからの団体客で賑わっていた。 バクハのマーケットは日曜日に開かれる。当然バクハにくる人のお目当てはこれなのだが、私はここよりもさらに奥にある「カンカウ」という村で土曜日に開かれるマーケットに行こうとしていた。 当日の朝6時半、町の真ん中にある広場に行き、バクハから来るバスを待つ。来ない・・・・・・。バイクタクシーから声がかかるが、ラオスでコケて以来バイクはちょっと。待ち続けて7時半、ようやくバス到着。出発は8時。 山道をくねくねと走ること小一時間、本当にこのバスはカンカウに行くのか、そのカンカウは私が目指している市の立つカンカウか。そう不安に思い始めた頃、ようやく行く手にそれらしき建物群と人の群れが見えてきた。 ![]() 私が乗ってきたバスは、市場の横の道を通過してさらに先へ行こうとしているのだが、人ごみがすごくて立ち往生している。 以下、カンカウ・マーケットの写真をずらっと並べます。コメントは最後に。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 市場の全体像がわかるような写真がなかった、ごめんなさい。 山の斜面に開かれたちょっとした平坦地にトタン張りの小屋やシートで覆った露店、道路に商品を並べただけの店、それらがごちゃ混ぜになっているような場所だった。もちろん住み分けはしているが。 ここは花モン族と呼ばれるモン族の一支系の人びとの市場。周辺にはこの民族が多数暮らしている。もちろん他の民族も少しは混在しているだろうが、少なくともこのマーケットに午前一杯いた範囲内では、明らかに他民族とわかる人は(少なくとも女性は)見なかった。 モン族は中国では苗である。そう、今回の旅でも貴州省あたりで多数出会ったし、何より苗の刺繍を求めて中国へは行ったのだから、その流れとしてこちらの花モン族もどんなにかすばらしい刺繍の服を着ているのだろうか、と、ワクワク気分で出かけたのだが。 残念ながら、私がわくわくするような「よいもの」を身に着けている人は、もういなかった。 中国から流れてくるのか、あるいはベトナムで生産されているのか、化繊の布地、カラフルな飾り用テープ(日本では山道などと呼ばれるようなものも含めて)、刺繍柄をプリントした布地、などが大量に売られており、女性たちはその品定めに忙しかった。彼女たちが身に着けている衣服のほとんどは、こうして今風に飾られたものだった。うまく説明できるか自信がないが、布地を、その表面が見えなくなるほど飾りテープによって埋め尽くしていく、という感じの服が特徴的だった。 ごく僅かに、古い手刺繍の布や藍でロウケツ染めにした古い布なども売っていたが、これが驚くほどの高値だった。タイで購入するよりもずっと高くて、さすがに手が出なかった。よほどよいものがあれば高くてもとは思ったが、それほどまでに心魅かれるものには出会えなかった。 では、カンカウは面白くない場所か、行く意味などない場所か。 そんなことはない。これだけ多数の山岳少数民族が、今もこのフリフリで大ぼったい民族衣装を日常着として着続けている、それだけでもう、とてつもなくすごいことなのである。 それにカンカウは、団体旅行で来る外国人は多いだろうが、個人で訪れる人はまだ少ない。この日も個人でバスに乗ってここを訪ねた外国人は私だけだと思う。きのう一緒だったチェコのカップルは、同じホテルのオーストリアだったかの団体に同乗させてもらったと言っていた。バスもあり、けして行くのが困難なわけではないのだが、まだそれほど有名でもなく、そこまで足を延ばす理由はないと思う人が多いのだろう。 私がわくわくしなかったのは、これはもう職業病としか言いようがないことで、彼らにその責があるわけではまったくない。天然素材や手刺繍でなければ美しいと思えない私が特殊なのである。言っておくが、彼らはまったくもって美しい。それはもう、ほかにどうにも言いようがない。ただ、彼らのその美しい服は、私にとっては・・・・・・これ以上は言いますまい。 さて。 カンカウへ行ったはいいが、帰りもバスに乗らなければならない。さして大きな市場でもなく、買うものもないので、早めに切り上げたのだが、バスが来ない。朝私が乗ったバスが、いい加減引き返してきてもいいだろうと思うのだが、来ない。今日のうちにラオカイへ戻り、そのままバスを乗り継いでサパまで行くつもりなのだが、肝心の、この村を去るバスが来ない・・・・・・。バイタクで来ればよかったと1000回は思った。 待って待って待って、ようやく山道の上の方にバスが見えたときは、いやもうホッとした。市場に着いたのが8時15分頃、待ち始めたのが9時過ぎ、バスが来たのは11時半過ぎだった。 帰りもほぼ40分ほど。この山道はたいへんのどかで、バスに乗っていても楽しい。舗装もされている。 バクハに着いたのは12時15分。チェックアウト時間を過ぎているが、宿まで走って戻り、ザックを部屋から持ち出して「すまんすまん」とカウンターで謝ると、怒りもせずにすんなり見送ってくれた。 バスが来る広場に歩き出すと、私より後にカンカウに着き、先に帰っていたらしいチェコのカップルに声をかけられた。「もう行っちゃうの?」 もう、とは、バクハのマーケットが明日なのに、という意味である。私は今日中にサパまで行きたいんだ、と答えて2人と別れた。なんと忙しい日本人だろうと思われたかも。多分だが、カンカウを見たら、バクハはもう同じなんじゃないかと・・・。もちろんわからないが。もっと価格などがこなれていて、楽しめるマーケットである可能性もなくはない。 宿から広場への道は、カンカウ~ラオカイのメインルートにTの字に合流する。さっき私が乗ったバスが来たばかりなのだから、当分来ないだろう、そのへんでご飯でも食べて、と思いながら歩いていると、左からふらーっとバスが現れ、広場方面へ消えていくのが見えた。なんでっ? と思いつつも条件反射的に走り出し、広場の手前で停まっているのをつかまえて乗り込んだ。すぐに発車。超ラッキー、と言うべきか、腹減ったと言うべきか。 以下続く by himalaya3 | 2009-09-29 22:07 | 2009ラオ・中国・ベトナム
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